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2013/05/21 更新

意見陳述書(本件訴訟の意義と訴訟の進行について)

 平成23年9月26日、北海道建設アスベスト訴訟の第1回口頭弁論が開かれ、アスベスト被害者の国や建材メーカーとの本格的な闘いが始まりました。この意見陳述書は、弁護団長である藤本明弁護士が、同期日において訴訟の意義などを述べたものです。



意見陳述書

平成23年9月26日

 

札幌地方裁判所 御中

 

原告ら訴訟代理人
弁護士 藤本 明


1 本件訴訟の意義・目的について

 

(1) 本件訴訟の原告らは、1940(昭和10)年代以降に、建設作業従事者として、主に北海道内の建設現場において働き、石綿粉じんに曝露したことにより、石綿肺、肺がん、中皮腫等の重症の病気に罹患した石綿被害の被災者とその遺族です。
 原告らは、大工、配管工、塗装工など様々な職種の建設作業等に従事し、その各種作業を担うことによって社会に貢献してきた人たちです。そして、その過程で、建設現場において日常的に石綿粉じんに暴露し、累積的に石綿粉じんを吸引し続け、その結果肺ガンや中皮腫等の病に侵され、生命と健康を奪われました。
 その原因は、国と石綿含有建材メーカーが一体として「石綿含有建材」推進政策を永年にわたり推進してきたことにあり、このような国策の下で建材メーカーが一丸となって人の生命・健康よりも利潤追求策を優先させ建設市場へ膨大な量の石綿含有建材を流通させたことにあります。

 

(2) 本件訴訟の目的は、小野寺代理人の意見陳述においても触れられたところですが、2008年5月に東京地裁に提訴された首都圏建設アスベスト訴訟の目的と何ら違いはありません。訴状17頁に述べましたが、私たち原告団・弁護団は、5つの目的を掲げ、その実現を目指して提訴致しました。
目的の第1点は、石綿被害の過酷で悲惨な実態を法廷内外で明らかにして、国民の多くに石綿被害を認識してもらうことです。石綿被害は、建設作業従事者の「職業病」であるとともに、市民の健康を奪う「公害」であるという複合汚染の実態を広く国民に周知し、広く救済と予防を求めていくことが必要だからです。
 第2点は、国と建材メーカーの法的責任を明らかにして、原告らに対する、誠意ある謝罪と被害に見合った賠償の実現を求めることです。
 第3点は、国と建材メーカーに対し、全ての石綿被害者を救済するための制度として「被害者救済基金」の創設を求めることです。
 第4点は、国と建材メーカーに対し、石綿に関する規制の抜本的な強化、並びに今後の建築物等の建替えや解体等による石綿被害の発生を予防するための万全な施策の確立・実施を求めることです。
 第5点は、国に、全ての石綿被害者の健康被害に対する権利救済と石綿被害根絶のための適切な施策の確立を求めることです。

 

(3) 以上述べましたように、本件訴訟は、原告らの個別の権利救済にとどまりません。仲間である建設作業従事者をはじめとする全ての石綿被害者の被害救済を求めるとともに、今後の石綿被害を予防するために、国と建材メーカーによる「新たな政策の確立」を目指しています。つまり、この訴訟は、原告や遺族が、膨大な顕在患者と潜在患者を代表して闘う訴訟です。ここに、この訴訟の大きな意義があります。

 

2 本件訴訟進行について

 

(1) 「1日も早く救済を」「命のあるうちに解決を」。これが、原告の声であり、切実なる願いです。 

 石綿肺は、じん肺の基本的特徴である不可逆性・進行性、全身疾患性を有し、効果的な治療がありません。肺ガン、中皮腫はとりわけ予後が悪く、発症から短期間で死に至ります。石綿肺、肺ガン、中皮腫に罹患した原告の方々には残された時間は余りないのです。残念ながら、提訴予定者のお一人が、提訴直前に亡くなり、また、提訴後の9月9日には、中皮腫に罹患されたAさんが、9月16日には、肺ガンに罹患されたBさんが亡くなりました。お二人とも療養開始日から僅か2年10ケ月という短い命でした。
 残された原告の、刻々と死が迫ってくる恐怖と不安の下で、本人、家族からの「早期救済」、「早期解決」を求める悲痛な声は、察して余りあり、胸が締め付けられる思いです。


 

(2) 私たちは、貴裁判所に対し、本件訴訟が遅くとも提訴から3年以内に結審されることを要望致します。

 そのためには、貴裁判所による的確な訴訟指揮に基づいた迅速な訴訟進行の下で、充実した審理を行うことが要請されることは言うまでもありません。本件訴訟における原告の基本的な主張は、既に先行し、結審間近となっている東京地裁における首都圏建設アスベスト訴訟における原告の主張とほぼ同一です。そして、首都圏アスベスト訴訟の被告も本件訴訟の被告と同一です。
 私たちは、本件訴訟が迅速かつ充実した審理になるように、首都圏建設アスベスト訴訟においてなされた原告の主張を、必要な範囲で集約して、早期に原告の主張として提出し、併せて総論的な立証を1年程度を目途に終了させる予定でおります。このように準備のための時間と労力を極力抑えていく方針でおりますので、貴裁判所におかれては、少なくとも2ケ月に1回の割合で弁論期日と進行協議を入れて頂きたく要望致します。
 また、迅速な訴訟進行と充実した審理は、裁判所はもとより、原告・被告双方にとって当然に要請される基本原則ですので、その意味からも被告の積極的な協力を求める次第です。

 

3 最後に、冒頭、原告のCさんが意見を陳述されましたが、そこにおいてCさんは、「私たちの身体よりも、アスベストの価値が重視されるなんて判決が 許されるのでしょうか」と述べられました。
 これは、大阪泉南アスベスト訴訟の大阪高裁判決について疑問を投げかけたものです。中村憲昭代理人、小野寺利孝両代理人もその意見陳述において、大阪高裁の判決は不当判決であると指弾したところでもあります。
人の生命、健康という価値に優る価値は果たしてあるのでしょうか。もしあると言うのであれば、それは、まさに人間の尊厳を否定することを意味するのではないでしょうか。
 貴裁判所におかれては、過酷で悲惨な石綿被害の事実に真摯に向き合い、そして正義と公平のもとに、国と被告企業の法的責任を明確に示されることを信じて、私の意見陳述を終わります。


以上。