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アスベストあれこれ

2015/02/05 更新

弁護士 山崎俊彦

 皆さんは、アスベストが労働環境の問題だけだと思っていませんか。
 アスベストの多くが建材として使われ、建築現場で切ったり貼ったりされ、ほこりが舞い散る中で仕事をした作業員がアスベストを吸い込み、肺をやられてしまい、呼吸苦に苦しむのですから、確かに労働環境の問題ではあります。
 そんな危ない物の輸入を許可し、建材として売ることを認め、健康を害する現場作業を放置した国の責任だってあるでしょう。ざっと、こんな理屈でアスベスト裁判が起こされているのです。
 しかし、アスベストそれじたいは極めて小さい鉱物です。しかも繊維状の鉱物です。9割以上を占めるクリソタイルという鉱物は、太さが約0.02~0.03㎛(マイクロメートル)というものです。
 1㎛は1mの100万分の1で、1㎜の1000分の1です。もちろん目に見えるものではありません。参考までに、花粉症の原因とされているスギ花粉、ヒノキ花粉は直径30~40㎛、シラカバ花粉で20~40㎛です。
 アスベストの大きさは、これらの花粉と比べて1000分の1なのです。それぐらい微小なものですから、花粉症対策のマスクなどすいすい通り抜けてしまうのです。これらの花粉は目に見えますし、建築現場でのほこりも目に見えますが、アスベストはそんなものでないのです。インフルエンザA型ウイルスだって80~120㎛ですから、これよりずっと小さなものです。目に見えるほこり対策では、防ぎようがないのです。
 話は変わりますが、ヒトは、呼吸し酸素を取り入れて、それを血液の流れにのせて体中に届けることによって細胞を活性化させ、生きていけるのです。酸素は、気道を通って肺に入り、心臓に送り込まれて、そこで血液に溶かされます。
 だから、肺に酸素が入りにくくなったり、そこに異物が入り込むと、正常な肺の活動ができなくなります。体中への酸素の供給に支障がでてくるのです。
 しかし、ヒトの体はうまく出来ていて、体外から異物が入ってくると、これを防ごうとします。「免疫」といいます。鼻や口から異物が体内に入ってくると、まず最初に口腔(口と少し下の部分をいいます)で、それを体外に吐き出そうとします。腺毛反射といいます。それでもここを通過した異物は、こんどは気道(喉の内側にあります)内で、染み出てくる分泌物によって絡めとられ、痰として体外に出されます。咳反射とか気道反射といいます。
 ここも通過した異物が肺にまで入ってくると、マクロファージとかT細胞、B細胞といった血液の免疫細胞によって溶かされたり死滅させられます。このように、何重にも亘って、ヒトは体内に入った異物を排除するのです。当然、大きい物から順に排除されます。
 ところが、0.02~0.03㎛というすごく小さなアスベストは、これらの免疫に簡単に引っかからないのです。すぐに肺にまで入ってしまうのです。余りに小さいからです。おまけに、アスベストは繊維性ですから、肺の中で、マクロファージなどによって溶かされることもないのです。溶かされることなく、肺の中に居続けます。そのまま肺の機能を阻害してしまいます。そのとき、石綿肺とか、中皮腫、石綿胸水、びまん性胸膜肥厚、肺ガンなどを引き起こすのです。
 ガンとは、遺伝子としてのDNA(塩基酵素)が、たんぱく質を作る指示を出すRNA(DNAと同じようなもの)へ転化(コピー)するときに手違いがあって、予定以上にたんぱく質を作らせ、それが増えて細胞を異常化させ、そのガン細胞が臓器そのものの正常な機能を妨害するという病変のことです。
 このコピーの手違いは、日常的によくあることです。普通は、免疫によって修正されますが、酷い手違いがあったとき、修正できないで病変をもたらすのです。肺に居ついたアスベストは、正にその修正できないものだったのです。だから、人によって肺ガンをもたらすのです。肺ガンにならなくても、繊維性で溶かされることがなく、肺の中で他の悪さをするのです。だから、アスベストは恐いのです。
 そして、アスベストは、30年前の環境庁の刊行物で「一般の環境大気中にもアスベスト繊維が検出され、発がん物質としてのアスベストの広汎な使用に伴う環境汚染の問題について国際的な関心が寄せられている」と指摘されています。単なる労働環境としての問題でもなく、広く生活環境の問題でもあったのです。身に沁みる思いです。アスベストは日常的にも恐いものなのです。
 このようなアスベストは、国内でほとんど採れません。ほぼ全てが輸入です。それをもって建材会社等が営業をします。燃えない便利な建材として、大量にかつ安易に使われてきました。
 被告となっているA社は最高7212億円、K社は7044億円、S社は5707億円、N社が5650億円という売上をみていました。かなりの収益を得ていたということです。日本国の一般会計予算が約96兆円ですから、この一社だけの売上をみてもすごいものです。勿論、この売上の全てがアスベストによるものだけでないでしょうし、利益率もはっきりしませんが、収益としてかなりあったと思われます。そのとき、アメリカ法でいう懲罰的慰謝料を考えたくなります。
このように、いろいろ言いたいことがありますが、もう紙幅を大幅に超えているようなので、私の分はこれだけにします。