意見陳述書(本件訴訟の意義と訴訟の進行について)

全国初!国に対する泉南型国賠訴訟(生前和解後・死亡後に慰謝料追加請求)における和解成立 及び 株式会社ノザワに対する損害賠償請求訴訟

■はじめに

 私たち弁護団は,1969(昭和44年)~1971年(昭和46年)まで株式会社ノザワに勤務し、石綿疾患で亡くなった方のアスベスト被害について,①生前にご本人から石綿疾患に罹患したことの慰謝料を求める国家賠償請求訴訟,②死亡後にご遺族から,株式会社ノザワに対する安全配慮義務違反による損害賠償を求める訴訟,③死亡慰謝料を求める国家賠償請求訴訟の依頼を受けました。

これらの訴訟経過についてご報告申し上げます。

 本件の被災者は,株式会社ノザワで勤務していた際に,札幌市東区の倉庫で石綿を含む建材の切断加工などに従事したため、アスベスト(石綿)を吸引して健康被害を受けた方で、昨年に同被害が原因で死亡されています。

■それぞれの訴訟の経過

①    の訴訟

   まず、被災者の生前に、当弁護団は,平成30年4月13日に国に対する国家賠償請求訴訟(いわゆる「泉南型」国家賠償請求訴訟です)を提起しました。

   この訴訟において、国は既に公表している方針にしたがって国の責任を認め、平成30年9月26日に和解が成立し、被災者に対して損害賠償金の支払いが行われました(ただし、このときは被災者がご存命であったことから、あくまで「病気にかかったこと」に対する賠償金のみが支払われました)。

その賠償金の受領後、間もなく被災者は亡くなられてしまいました。

②    の訴訟

 生前の被災者の遺志を受けた相続人から依頼を受け、平成30年10月17日に株式会社ノザワに対する訴訟提起に至りました。

 この訴訟は、国からの賠償金では填補されない損害部分について、雇用主である株式会社ノザワの責任を追及するものです。

 現在札幌地方裁判所において審理が進められています。

③  の訴訟

  一方で、本件では同時に、国に対しても、平成31年2月4日に改めて「被災者がアスベスト(石綿)の暴露によって死亡したこと」を原因として、追加の賠償金の支払いを求める訴訟を提起していました。

 国は、アスベスト(石綿)により被災者が死亡した場合には、単にアスベスト(石綿)による病気が判明したときより高額の賠償金を支払うことを定めているので、この訴訟はその差額を求めたものです。

 こちらの訴訟についても、国は被災者の死亡に対する責任を認め、当方が請求した全額を認める和解が令和元年11月11日に成立しました。翌12日の北海道新聞の朝刊で報道がなされました。

 生前に「泉南型」国家賠償請求訴訟により国と和解をしていた被災者に関して、死亡後に追加で国から賠償金の支払いを受けることができたのは、この件が全国で初めてです。

 これまでに生前に「泉南型」国家賠償請求訴訟において国から和解金を受領している方についても、死亡後に遺族の方が請求することで、同じく追加の損害賠償金を受領できる可能性があります。

■労災受給と訴訟の関係

 本件の被災者は、生前からアスベスト(石綿)疾患を原因として労災補償を受領していました。

 しかし、今回国や企業に対して行っている請求は、この労災補償とは全く別に請求することができます。

■最後に

 ノザワをはじめとして、北海道には過去に多くの建材製造工場が存在しました。

 また,工場では無い場所での石綿被害についても,国家賠償請求訴訟で国が和解に応じる場合もあります。

 特に元勤務先に対する安全配慮義務違反は,多様な作業環境において認められる可能性があります。

 過去にアスベスト(石綿)作業に従事して石綿疾患をお持ちの方または石綿疾患で亡くなった方の相続人の方は、国や勤務先に対する請求が可能かもしれません。 

 お心当たりのある方や、話をより詳しくお聞きになりたい方がいらっしゃれば、お気軽に当弁護団へ電話等でご連絡ください。