泉南アスベスト訴訟ー9月4日に最高裁で弁論実施

弁護士 山田 学

 大阪の南部・泉南地域のアスベスト工場から発生した粉じんによる被害者が国を訴えた訴訟は、第1陣(1審原告勝訴、2審原告敗訴)、第2陣(1審2審とも原告勝訴)とも控訴され、最高裁第1小法廷に係属していますが、さる9月4日、いずれも弁論が開かれました。  最高裁は、基本的に、事実認定の問題は扱わず、法律問題のみを審理することから、書類審査が原則で、弁論を開いて審理を行うことは稀です。一般に、最高裁が弁論を開く場合は、原審の判断を覆すことが多いと言われていますが、本件の原審は、1陣と2陣で結論が分かれているという状況で、両方について弁論が開かれたことから、最高裁がどのような結論を取るかを予測することはできません。 

 弁論は、第1陣・第2陣とも約1時間行われました。原告側は、持ち時間をフルに利用し、原告3名と弁護士6名が被害の実態や重要争点について意見を述べました。これに対し、国は、全く同じ内容の意見を2度述べました。そして、判決期日は、1陣・2陣とも、本年10月9日午後3時と指定されました。 原告らは、最高裁弁論終了後、衆議院第1議員会館において、院内集会を行い、国会議員に対する要請などを行いました。集会は、原告やこれを支援する全国各地の諸団体・弁護団が、判決期日まで勝利を目指して全力で闘い抜くこと、および、勝利判決後は早期全面解決を求める行動に集中すること、の2点を確認して終えました。 

 泉南アスベスト訴訟と建設アスベスト訴訟は、被害者が異なり(前者はアスベスト製品を製造する工場の労働者、後者はアスベスト建材が使われた建築現場の労働者)、国がアスベスト対策を行う方法(規制権限の行使方法)も異なることから、国の責任に関する争点が同じではありませんが、類似する面も多いので、来る10月9日の最高裁判決が建設アスベスト訴訟に与える影響は少なくありません。  9月4日の弁論期日には、マスコミも多数取材に来ていました。以上のように、泉南アスベスト訴訟の最高裁判決は、極めて重要ですので、皆様にも、ぜひ関心をお持ちいただき、10月9日夜のニュースや翌日の朝刊に注目していただくようお願い致します。 

 なお、この最高裁判決の内容については、次回の本コラムで取り上げる予定です。